この度、RaycastのAdvanced AIを契約したので、その使い勝手や機能、料金から使用制限まで皆さんにお伝えしたいと思います。
前回の記事をまだ見てない方はぜひ読んでみてください。
ProとAdvanced AIの違い
機能
Advanced AIプランは、名前の通り、Proの機能に加え、より多くのAIが使用可能になるプランです。
AI以外の機能はProと全く変わらないため、AIを追加で使いたい人向けのプランです。

値段
値段の違いは以下の通りです。
月契約 | 年契約 | |||
Pro | +Advanced AI | Pro | +Advanced AI | |
1ヶ月料金 | $10 (1,450円) | $20 (2,900円) | $8 (1,160円) | $16 (2,320円) |
1年料金 | $120 (17,400円) | $240 (34,800円) | $96 (13,920円) | $192 (27,840円) |
Advanced AIプランにする場合、Pro料金の倍を支払う必要があるということです。
年間契約にすればProであれば月当たり2ドル、Advanced AIプランでは4ドル安くなりますから、年契約の方がお得でしょう。年契約の場合、支払いは一括で一年分なのでご注意ください。
近年は円安の影響で時期によって高くなったり安くなったりするので、いい時期を見て契約されることをお勧めします。
モデル
Advanced AIを契約することで使用できるようになるモデルを以下にまとめました。
提供会社 | モデル名 | Proで利用可能 |
Raycast | Ray-1 | ⚪︎ |
Ray-1 mini | ⚪︎ | |
Open AI | GPT-4.1 mini | ⚪︎ |
GPT-4.1 nano | ⚪︎ | |
GPT-4o mini | ⚪︎ | |
o4-mini | ⚪︎ | |
o3-mini | ⚪︎ | |
GPT-4.1 | ||
GPT-4 | ||
GPT-4 Turbo | ||
GPT-4o | ||
o3 | ||
o1 | ||
Anthropic | Claude 3.5 Haiku | ⚪︎ |
Claude 3.5 Sonnet | ||
Claude 3.7 Sonnet | ||
Claude 3.7 Sonnet(推論) | ||
Claude 3 Opus | ||
Claude 4 Sonnet | ||
Claude 4 Opus | ||
Claude 4 Sonnet(推論) | ||
Claude 4 Opus(推論) | ||
Perplexity | Sonar | ⚪︎ |
Sonar Reasoning | ⚪︎ | |
Sonar Reasoning Pro | ⚪︎ | |
Sonar Pro | ||
Meta | Llama 4 Scout(Groq) | ⚪︎ |
Llama 3.3 70B(Groq) | ⚪︎ | |
Llama 3.1 8B(Groq) | ⚪︎ | |
Llama 3 70B(Groq) | ⚪︎ | |
Llama 3.1 406B(Together AI) | ||
Mistral | Mistral-Nemo | ⚪︎ |
Mistral Small 3 | ⚪︎ | |
Codestral | ⚪︎ | |
Mistral Large | ||
Mistral Medium | ||
DeepSeek | DeepSeek R1 Distill Llama 3.3 70B(Groq) | ⚪︎ |
DeepSeek-V3(Together AI) | ⚪︎ | |
DeepSeek-R1(Together AI) | ||
Gemini 2.5 Flash | ⚪︎ | |
Gemini 2.0 Flash | ⚪︎ | |
Gemini 2.0 Flash Thinking | ⚪︎ | |
Gemini 2.5 Pro | ||
xAI | Grok-3 Mini Beta | ⚪︎ |
Grok-3 Beta | ||
Grok-2 |
最も大きなものはGPT 4.1やo3、o4-miniといったOpenAI社の最新モデルから、Anthropic社のClaude 3.7 SonnetやOpus、さらにはClaude 4といった最新モデルが使用可能であることです。
Googleが提供するGemini 2.5 Proが使えるのも嬉しいですね。
Ray-1はRaycastが独自に開発し、最適化したモデルで、GPT-4oがベースモデルになっています。
Advanced AIではこれらのモデルが使用可能になり、専用のインターフェースから容易に切り替えが可能です。同じチャットルームからこれらのモデルを切り替えて使用できるのは一つの大きな魅力と言えるでしょう。(他社のAIツール一体型サービスでは、チャットルームごとに別のAIを呼び出すことはできても、同じチャットルームで別のモデルを呼び出せるものは少ない。)
プログラミングに強く、より言葉遣いが人間らしくなっているGPT 4.1や、数学などの複雑なタスクをこなせるo3、プログラミングや自然な文章生成が得意なClaude 3.7・4、文章生成や情報調査が強みのGemini 2.5 Proが使えるのであれば、少し高くなっても契約するメリットは十分にあると言えるでしょう。
画像生成
Raycastでは、OpenAI社が提供するDALL-E 3が使用できるほか、DALL-E 2も使用可能です。Flux.1 AI社の提供するFlux 1.1 ProやStability AI社のStable Diffusion 3.5 Mediumも呼び出し可能です。
画像生成はクラウド上で生成されたものが、ローカルに保存される方式です。
画像を保存するには、ダブルクリックでプレビューした上で右クリックで画像をコピーし、その後保存しなければいけません。
保存方法にはクセがありますが、慣れれば問題ありません。
使用制限
AIのAPIには当然料金がかかり、使用に応じて変動しますから、当然使用制限は存在します。問題は、どれくらいの回数使えるかです。
Raycastではモデルの使用制限について以下のように説明しています。
Advanced AI models:
Same as Pro, plus:
- 75 requests per 3 hours
- 150 requests per 24 hours
Exception:
- o1: 50 requests per week
- o3: 50 requests per week
- o1-preview: 50 requests per week
- o1-mini: 50 requests per 24 hours
ちなみに、Proモデルでは以下のようになっています。
Raycast Pro models:
- 10 requests per minute
- 200 requests per hour
Exception:
- o3-mini: 150 requests per 24 hours
- o4-mini: 150 requests per 24 hours
Advanced AIプランでは、「Proの条件に加えて」と書かれているため、
総じて以下の制約があると言えるでしょう。
- 1分間に10リクエストまで
- 3時間に75リクエストまで
- 24時間に150リクエストまで
1リクエストの定義は、「AIの応答を含むユーザーの1回の送信」です。
Proプランよりも制約が厳しいのは、高ランクモデルが使用可能なためでしょう。ただし、これは1つのモデルに対して適用されるものであり、この制限分使用しても他のAIモデルは使用可能です。
o1、o3モデルは週に50回という制限がついています。
私はすでに2ヶ月Advanced AIを契約し、日常的にAIを使用していますが、制限がきたのはo3の週50回の制限のみです。
それも、明らかにo3である必要のないタスクをo3にやらせていたことが原因ですから、正しくモデルを選んで使えば、普段使いで制限に困ることはないでしょう。
他社AIプラットフォームとの比較
例えば、Open AI社が提供するChat GPTやAnthropic社が提供するClaudeなど、世の中には多くのAIが利用可能なプラットフォームがあります。
その中でもRaycastのAdvanced AIを契約するメリットはなんでしょうか。
Open AI社が提供する有料版の料金(Plusプラン)は月$201であり、日本円換算で月2,900円2です。Raycastの月契約Advanced AIと同じ金額ということになります。最も、OpenAI社で契約すればAdvanced AIでも含まれていない、o3-mini-highが使えるほか、o3などの使用制限は週100回ですから、倍のリクエストが送れます。
また、提供会社のプラットフォームで契約する大きなメリットとしてはDeeResearchが使える点にあります。Raycastで契約すると、それらの機能は使用できません。
また、Anthropic社が提供する有料版(Proプラン)は月$173であり、日本円換算で月2,465円4です。
このように、個々の契約により、それぞれの会社が提供するモデル群をRaycastのAdvanced AIよりも多くの回数使うことができるほか、より複雑なタスクにも対応したプラスアルファの機能が使えることもあります。
一方でRaycastの強みとしては、他社の専用プランと同じ値段で、不自由ない回数のリクエストを、複数の会社のモデルで使用できることにあります。
また、Raycastが提供する拡張機能、またはユーザーが作成し、一般公開された拡張機能を使用することにより、AIをデバイスの情報と連携させた上で使用することができます。
詳しくは下項目である、便利な「実際の使用感」項目内にある「拡張機能との連携」を参照してください。

実際の使用感
綺麗なインターフェースとMacに最適化されたシステムは、AIの呼び出しをスムーズに行うことができます。個人でカスタムホットキーを設定していれば、ショートカット一つでAIトーク画面を呼び出すことができます。
モデルの切り替えもスムーズであり、目当てのモデルがあれば名前を入れればすぐに切り替えられますし、リストから選ぶこともできます。


どのモデルがいいかわからない場合は、一覧になっているモデルからそれぞれの機能を確認しながら選ぶことも可能です。

主にどのような機能が使えるか(ウェブ検索機能・画像生成機能・Raycast拡張機能との連携)が表示されるほか、応答スピードや知能レベルが視覚的にわかりやすく表示されます。
便利な拡張機能との連携
Raycast AIで着目するべき点は拡張機能との連携があります。
例えば、カレンダーのデータをAIに読み込ませて予定の確認・追加ができたり、リマインダーにAIコマンドを通して予定を追加させたりできます。位置情報を利用することもでき、天気情報の取得も可能です。アプリとしてはブラウザアプリのArcや、Apple Music、NotionなどとのAI連携が現状可能です。

6月10日の午前3時からお茶に誘われたのですが、大丈夫ですか?
という旨の質問をしたところ、以下のように返ってきました。
6月10日の午前3時からは「WWDC25 Appleの当面講演」が午前4時まで予定されており、その時間帯はお忙しいと思います。ご参考までに、イベントのリンクは次のとおりです: WWDC25 Apple の当面の講演。
別のお茶の時間を見つけるのを手伝いましょうか?
では、いつなら大丈夫ですか?
と尋ねたところ、
6月10日は、午前2時から午前4時までの予定のみとなっております。それ以外は、当日のスケジュールは空いているようです。お茶の時間には、午前2時から午前4時以外であればいつでもご利用いただけます。具体的な時間設定をお手伝いしましょうか?
という返答が返ってきました。
もっとも、カレンダーをひらけばいいじゃんと言われればそれまでなのですが、こういうAI任せなのもたまにはいいですよね。
詳しい詳細はまた別の記事で書こうと思います。
問題点
一方で問題点として、操作上で使いづらい部分が存在する点です。
レスポンスはコピーすることがボタンによってできるのですが、一部分をコピーしたい時、Webサイトのようにスムーズに長い範囲を選択することができません。文章を選択した上で画面外の部分(スクロールしなければいけない領域)までスクロールしようとしてもできない場合があります。これはどのようなバグによるものなのかわかりませんが、頻繁に発生します。
また、数式が一部正常に変換されずに出力されることがあります。これはRaycast側に報告していますので、早い段階での改善を期待しますが、unicodeなどの文字列が変換されずにそのまま出力されるので、私たち人間には理解することが困難な状況があります。

ただし、これらは常に起こるものでなければ、私だけの環境で発生する問題かもしれません。
これらの問題点も新たなシステムには常に起こり得る問題であり、今後の改善に期待します。
結論
複数のAIを効率的に、そして上位モデルをお得に使いたいのであれば、若干の問題点はあるものの、とてもお勧めできるサービスです。
一方で非常に複雑なタスクを定期的に行いたい場合、Deep Researchが使えないRaycastはあまりお勧めできません。
最も、まずはProから契約を行い、より上位モデルを使用したいと思った際にはAdvanced AIを契約する。というのが一番いいでしょう。
ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

ではまた次の記事でお会いしましょう。
脚注
- Open AI社より。2025年6月4日参照。
https://openai.com/ja-JP/chatgpt/pricing/ ↩︎ - 1ドル145円換算。 ↩︎
- Anthropic社より。2025年6月4日参照。
https://claude.ai/login?returnTo=/?#pricing ↩︎ - 1ドル145円換算。 ↩︎
コメント