近年、日本の教育界で注目を集めているのが、国際バカロレア(IB)による「IBディプロマプログラム」(DP)です。DPは世界で最も興味深い教育課程の一つと評価されており、日本国内でも導入校が急速に増えています。
DPとは一体どのようなプログラムなのでしょうか。本稿では、DPとこれまでの日本の標準的な教育課程(JNC)との違いを解説し、DPの魅力や特徴について考えていきます。
まずはDPの概要を説明しましょう。DPはスイスに本部を置くIB Organizationによって提供・開発されており、生徒は言語、社会、科学、数学、芸術など幅広い分野から科目を自由に選択できます。私の通う学校では、2つの言語で200を超える科目が用意されており、DPを修了するためには、課題論文(EE)、CAS、そして知の理論(TOK)という3つのコア科目を履修する必要があります。
一方のJNCは、日本における標準的な教育課程です。基本的な枠組みは文部科学省によって定められていますが、研究プロジェクトのような特別なプログラムは含まれていません。また、DPにはない家庭科や体育などの科目では、実生活に即した実践的な学習が重視されているのが特徴です。
さて、DPとJNCの大きな違いの一つは、CASの存在です。CASは創造性(Creativity)、活動(Activity)、奉仕(Service)の3つの要素から成り立っています。生徒は自ら企画を立て、例えばピアノ演奏、ランニング、物作り、地域奉仕活動など、様々な活動に取り組みます。教師は生徒の活動を支援し、振り返りを通じて成長を促します。(もちろん、これもCASに登録できます!) このように、CASは学業以外の分野で生徒が自発的に挑戦する、DPならではの活動である一方、JNCにはこうした制度は設けられていません。
DPの他の特徴としては、JNCよりも自由度が高く、世界の出来事に注目しながら探求型の学習を行うことがあげられます。特に、DPへの準備段階であるMYP(中等教育課程)では、探究活動が多く盛り込まれ、試験よりもレポートやプレゼンテーションなどの課題が中心となります。
加えて、物理などの理系科目では、大学レベルの解法や理論が取り入れられる場合があります。そのため、一部の大学ではDPの取得単位が卒業要件の一部として認められています。特に欧州を中心に、DPの成績を出願書類として使用できる大学も多くあり、国際的な通用性が高いと言えます。日本国内から海外大学への進学を狙っている人には、特にDPを進めたいです。
以上をまとめると、IBは世界的な規模で展開する教育機関であり、幅広い科目選択と探究を重視した教育を行っていることに加え、CASのような経験を通して、学業だけでなく人間的にも成長できることが大きな魅力です。一方で、DPは決して易しいコースではなく、2023年11月試験では18%の生徒がDPを取得できなかったことからも、相当の努力が必要とされることがわかります。
しかし、IBには160か国以上に5,700校以上の加盟校があり、世界に開かれた教育ネットワークを有しています。伝統的な教育課程に疲れを感じている方には、IBのDPをお勧めします。多様性に富み、探究心を養う刺激的なプログラムです。
以上の記事は英語圏向けに執筆したものに、加筆・修正をした和訳版です。
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